県指定史跡「五料の茶屋本陣」
「五料の茶屋本陣」で開催中の「第31回ひな人形展」を取材するボランティアサポーターたちに同行し、同史跡を訪ねました。
ひな人形展の記事には茶屋本陣についての説明がないため、こちらで紹介させていただきます。
県指定史跡となっている「五料の茶屋本陣」は、参勤交代などで中山道を通行する大名や公家などが休息したところで、『お西』『お東』と呼ばれる2つの建物からなっています。茶屋本陣は、各宿場ごとにある本陣のような宿泊用の施設ではなく、休憩や昼食、あるいはほかの大通行が関所にかかっている間の時間待ちなどのために使われていた施設。そのため部屋数はそれほど多くないものの、両家とも上座と呼ばれる書院造りの上段の間、下(次)の間、式台(玄関)、通り(入側)などを備えています。また、家族の生活の場は、勝手、茶の間、中の間、納戸などからなり、茶の間に続く広い座敷は、名主役宅として村役所の機能を果たしていました。
五料の茶屋本陣は両家とも中島姓のため、地域では今も「お西」「お東」と呼んでいます。両家ともに代々名主を勤めており(二人名主制)、お西に伝わる1601(慶長6)年の「五料村御縄打水帳」によると、すでにそのころには五料村に土着し、名主役を勤めていたことが分かります。1836(天保7)年から1872(明治5)年までは交代名主制となり、1年交代で名主役を勤めました。
この「お西」「お東」の建物は、ともに1806(文化3)年の大火で消失し、同年中に再建されたものです。使用されている木材は松、杉が主で、大黒柱などにはケヤキが使われています。
※「お西」と「お東」の違いについて
現在、同史跡の受付は「お西」の側に設けられ、入口正面の建物が「お西」、受付を過ぎて右手に少し進んだ先が「お東」の建物となっています。いずれも茶屋本陣かつ名主の役宅であり、その上、同年代の建物であるため、大きさや構造はほぼ同じ。あえて相違点をあげると、「お東」は「表側中央に『村玄関』がある」「二階部分が3尺ほど出張っている『出し梁』になっている」「縁側の西端と式台の境に壁がない」などの違いが見られます。ぜひ、実際に訪ねて、その違いを確認してみてください。
【県指定史跡・五料の茶屋本陣】
安中市松井田町五料564-1
開館時間 午前9時~午後4時30分
休館日 毎週月曜
入館料 大人210円 小人100円 ※団体割引あり
「お西」
門の外から見た「お東」
史跡「五料の茶屋本陣」入口